Next Creator File: 青木 純──マックが創り出す新世代アート

2012年09月01日 16:47 | 特別企画

青木 純


 パソコンを使った画像処理技術の発展が、アニメーションの世界を拡張している。技術の高度化によって表現のバリエーションが増えると同時に、手描きの絵や立体をコマ撮りする旧来の手法を用いた作品も、個人レベルで制作可能になった。パソコンが「スタジオ」としての機能を備えるようになり、作家が一人ですべてを創作できるようになったことで、個性あふれるアーティスティックな作品が数多く生まれている。
 今回紹介する青木 純氏は、そんな時代を象徴するような新しい世代のアニメーション作家。われわれがテレビで目にしている有名企業のCMなども手がける実力派だ。同氏は、東京の府中市美術館で11月11日まで開催されている公開制作「ハイブリッドアートラボ2」展にも参加している。今回は、その現場から青木氏の魅力をお届けしよう。
http://www.aokijun.net/


岡田 現在、府中市美術館でオリジナルのアニメ作品を制作中とのことですが、どんな作品ですか?

青木 手描きアニメです。映像を構成する絵を1コマずつ描いていき、それをパソコンに取り込んで動画にします。パラパラ漫画の要領ですね。最初はホラー作品にしようと考えていたのですが、作業が予想外にヘビーで、これでは公開期間中に完成までいけないと気づいたんです。そこで、技術的に高度なものを使いつつも、もう少しライトな内容にしようと思っています。

岡田 ヘビーな作業というと?

青木 今回、久々に商業ベースではない、個人的な作品をつくることになったので、アニメ制作の玄人が見て「すごいな」と思える要素を取り入れようと思っていたんです。具体的には、水の中に入れると固まり、ひび割れて崩れるように溶ける絵の具を使って、その現象を背景に用いてホラー感を演出しようと思っていました。しかし実験するうちに、撮影だけでなくパソコンに取り込んでからの後処理にもかなり手がかかることがわかって、断念しました。

岡田 手描きの絵を取り込んだあと、パソコン上で加工するんですか?

青木 僕は「Adobe After Effects」を使ってアニメをつくっているんですが、このアプリでエフェクトを加えたり、文字を合成したりといった処理をします。取り込んだ自分の絵をデジタルで加工し、動画にしていく過程が僕自身、とても好きなんですよ。例えば、標準的なアニメ制作の工程では手描きの線のかすれ具合など、微妙なタッチは除去されてしまうんですが、それをあえて残したり。また、昔のセル画のアニメのようなブレを表現したり。見る人は気づかないようなレベルのことも多いんですが、僕のこだわりというか。何しろ、根が技術オタクなので(笑)。

岡田 技術オタクなんですか?

青木 中高生のころからパソコンそのものに興味があったんです。パソコン雑誌を入手して、親が持っていたPCで自分でプログラミングをしたり、ゲームを作って遊んだりしていました。だからいまでも、メインで使っているのは自作マシンです。パソコンでの処理を追求するのは、仕事としての域を超えて、個人的な喜びにもなっています(笑)。

岡田 自作PCですか。最近はマックも使うようになったとか?

青木 作品制作の状況に合わせてアシスタントを募るのですが、美大生だとマックしか使えないという人も多くて。そこで、手始めにMacBook Proの17インチモデルを導入しました。僕自身も最近は、出先でMacBook Airを使っています。iPhoneやiPadも持っているのですが、近年のアップル製品、特にモバイル系のプロダクトは非常に使いやすいですね。デスクトップのマックにも、もっと自作の余地あるといいんですが(笑)。

(続きはMacPeople 2012年10月号にて!)


WORKS

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決してコタツから動こうとしないネコを描いたユーモラスなクレイアニメ「コタツネコ」。NHK-BS2の番組「デジタル・スタジアム」の入選作でもある


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「走れ!」は、東京藝術大学の学生時代に制作したアニメデビュー作。主人公の誕生から死までの経過を「走る」という行為で表現している


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(株)ベネッセコーポレーションの雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」のテレビCMのクレイアニメも、青木氏の制作

(c) Benesse Corporation 1993-2012


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コンパクトデジカメ「RICOH PX」のコンセプトムービー「PX Relay」。人物をコマ撮りするピクシレーションという手法を用いている

(c) PENTAX RICOH IMAGING CO., LTD.


TEXT/岡田智博